
今や「国民食」であるインスタント麺。その誕生は1958年のことでした。「世界初のインスタントラーメン」といわれる『チキンラーメン』を、日本のメーカーが開発したのです。
開発したのは日清食品創設者である安藤百福氏。安藤氏は1971年には世界初のカップ麺である『カップヌードル』も発明し、日本の、いや世界の食文化に革命を起こしました。
安藤夫妻をモデルとしたNHKの連続テレビ小説『まんぷく』も記憶に新しいですね。
さて、すっかりメジャーな存在となったインスタント麺ですが、誕生した頃は食中毒事件が起きたりなど、いろいろな出来事がありました。
しかし、それをバネにして、インスタント麺の技術はみるみる進化。現在では誰もが安心して食べられる食品となったのです。
今回は、「マツコの知らない世界」(TBS系)にも出演された、インスタント麺ハンターこと大和イチロウさんに、インスタント麺の歴史や技術の進歩について伺いました!
目次
高校生の時にバイク事故で生死のふちをさまよい、その結果記憶喪失がきっかけでインスタントラーメンというこの沼世界に入り込む元々は鍼灸師。 現在はご当地ラーメンを中心とした食文化研究家。鍼灸師の経験を生かして医食同源をモットーとした食の研究をしている。インスタントラーメン専門店やかん亭代表。35年で20,000を実食。
高校生の時にバイク事故で生死のふちをさまよい、その結果記憶喪失がきっかけでインスタントラーメンというこの沼世界に入り込む元々は鍼灸師。 現在はご当地ラーメンを中心とした食文化研究家。鍼灸師の経験を生かして医食同源をモットーとした食の研究をしている。インスタントラーメン専門店やかん亭代表。35年で20,000を実食。
日本のインスタント麺は安心安全!~進化し続けるインスタント麺の技術

インスタント麺の技術はどんどん進化し、今ではすっかり安心・安全なものになっています。
たとえばパウチ技術。空気に触れることで酸化が進むので、パウチや容器で光を遮断したり、酸化しない技術を導入しているんです。
また、カップヌードルの容器はコンビニのお弁当の容器などにも応用されています。
カップヌードルに使われている「フリーズドライ」という乾燥技術は、「血液製剤」という医療の分野にも転換されています。カップヌードルと医療が連携しているなんて、ちょっと驚きですよね。
インスタント麺の技術はこのように様々なシーンで活用されています。
今の日本のインスタント麺の技術は世界でもトップクラス。そのぐらい安心・安全で、しかもおいしい。世界的に見ても珍しいですよ。
「賞味期限」を初めて設けたのはインスタント麺だった!
食品って必ずパッケージの裏に「賞味期限」が記載されていますよね。今は法律で義務付けられていますが、昔はなかったんです。
じつは、最初に賞味期限として製造年月を記載したのは、インスタント麺だったんですよ。
インスタント麺が発売されたばかりの頃、ブームに乗って300社以上のメーカーがインスタント麺を作ったんです。そのなかで質の悪いメーカーがあり、食中毒事件が起きたんですね。
そこで、そういう事件をもう起こさないようにするために、インスタント麺業界全体で賞味期限を作ろうということに決まったんです。
ところがこれは食品業界の大反対に遭いました。期限を設けるということは売れ残りが出ちゃうということですからね。
でもそれを押し切って進めたのがインスタント麺業界なんです。そのおかげで消費者が安心してインスタント麺を食べられるようになったんです。
インスタント麺業界の謎~時短ものはヒットしない!?
時々、海外のインスタント麺を食べる旅に出るんです。インスタント麺は世界中に普及していて、その国その国で違った味のものがあるので、本当に奥が深いですよ。
海外のスーパーへ行くと、電子レンジで作れるカップ麺が多く販売されています。日本ではそうした商品は普及していないですよね。
じつはこれ、日本人のメンタリティが関係しているんじゃないかと僕は睨んでいます。
電子レンジで作ったほうが簡単なんだけど、なんだか一手間省いちゃったみたいな罪悪感を覚えるんでしょうね。「お湯を沸かす」という一手間が必要なんです、日本人には。
また、1分待つだけでできるカップ麺も開発され、販売されたんですが、なぜかヒットしないんですね。1分待つだけでできてしまうとおいしく感じないみたいなんです。やっぱり3分必要なんですよ。空腹を演出するための3分が。
電子レンジでできるものや1分でできるものなど、時短ものはよく出ていますが、ヒットにつながらない。インスタント麺業界の謎のひとつですね。

インスタント麺の最新事情
カップ麺はもともと洋風のものとして開発されたので、和風の商品は売れなかったんです。ところがここ2年くらいで和モノが売れるようになってきた。興味深い動きですね。サッポロ一番の『和ラー』シリーズのヒットがきっかけだったかもしれません。
消費者の動向に敏感な日清食品は、『カップヌードル 味噌 ミニ』が売れ始めていることに注目し、レギュラーサイズも販売することを決めました。
また、インスタントラーメンをご飯と一緒に食べるという文化はもともとなかったんですが、2年ほど前からこの文化が出始めているんじゃないかと。おにぎりと一緒に食べるとか。メーカーもこの動きに着目し、ご飯に合うインスタント麺を開発している。日清食品の『カップヌードル 味噌』もそうです。
僕はこの現象を「青森化」と呼んでいます。日本で一番インスタントラーメンを食べているのが青森県なんです。
青森にはご飯と一緒にお汁を飲む文化があって、汁物がないときはご飯とインスタントラーメンを食べるんですよ。インスタントラーメンを完食ではなく一品として見ているわけです。
今、全国的に青森化が始まっていますね。最近のインスタント麺はカロリーも塩分も糖質も控えめなヘルシーなものが多いので、一品でいいじゃないかという考え方が根付き始めています。
「和風回帰」と「ご飯と一緒に食べる」。これがインスタント麺の最新事情です。
まとめ
すっかりメジャーとなったインスタント麺ですが、現在の形になるまでにはメーカーの様々な創意工夫があったのですね。
また、インスタント麺業界にも流行があるそう。今の時期ならではのインスタント麺をぜひ食べてみたいものです。
今回、大和さんにお話を伺って、インスタント麺ってこんなにアツいんだ!と驚きました。大和さんに熱く語っていただいたインスタント麺の魅力が、読者の皆様にも伝わりますように!