CyberOwlでは、2月から「ギルド」という施策をはじめました。普段の所属組織を超えた少人数グループで、経営課題・事業課題の解決案を考えるというものです。社員が管轄外のボードメンバーと接する機会を増やし、「斜めの関係」を強くしていくために始まったこの企画について、発案者の真島さんと丸山さんにお話を聞きました。
【プロフィール】
真島典哉:株式会社CyberOwl取締役。2007年に株式会社サイバーエージェント入社。2012年に、CyberOwlの前身である株式会社CyberSSの立ち上げメンバーとなる。現在は広告メディア事業部の責任者であると同時に、取締役として教育メディア事業部やオウンドメディア事業部にも携わっている。
【プロフィール】
丸山将哉:2019年に株式会社CyberOwlへ新卒入社し、現在は教育メディア事業部で学習塾の比較サイト「テラコヤプラス by Ameba」の営業に従事。学習塾へサイト掲載を提案し、よりよいメディア作りができるよう社内外の連携を担っている。
――まず「ギルド」の目的と概要を教えてください。
真島: ギルドは、普段関わりの少ないボードメンバー、メンバーでギルド(チーム)を組んで、経営課題・事業課題の解決に取り組む施策です。
CyberOwlのみんなは基本的に仲が良くて、横のつながりもあるんですが、それでも自分の所属している組織内でのコミュニケーションばかりになりがちなんです。とくに今はリモートワークが増えたことで、なおさら所属チーム以外とのコミュニケーションが少なくて。
だからボードメンバーも含めて、組織の垣根を超えた「斜めの関係」を作りたいと思いました。今までも3ヶ月に1回程度、縦割り組織を超えたチームで議論をする場はあったのですが、そういう機会によって仲が深まる状態を常に作れたらいいなと。
――具体的にはどんな活動をするのでしょうか?
真島: 活動としては、社長がリストアップする経営課題や事業課題から取り組むものを選び、ギルド内で話し合って、解決案をプレゼンするというものです。このお題を「クエスト」と呼んでいて、クエストの難易度とプレゼン内容によって得点がもらえて、各ギルドの得点状況が可視化されるんですよ。
丸山: 田中社長を除いてボードメンバーは4人なので、ギルドも4つです。ギルドメンバーは4~5人いて、各ギルドのボードメンバーを「ギルドマスター」、メンバーのリーダーを「ギルド長」と呼んでいます。僕は真島さんギルドのメンバーで、ギルド長です。
――得点の可視化といいネーミングといい、ゲーム要素も感じますね。
真島: 競争心は人によると思いますが、たとえば難易度の高いクエストをクリアしているギルドがあると「すごいな!」と話題になりますね。
――社長からのクエストには、どのようなものがあるのでしょうか?
真島: たとえば「クレド(社員の行動指針)」を浸透させる方法とか。CyberOwlのクレドは元からありましたが、2ヶ月ほど前に内容をリフレッシュしたんです。
丸山: 社員全員で話し合って、新しいクレドを決めました。ただ田中社長は「行動指針は実際に浸透しないと意味がないよね」という課題を感じていて。だからクレドの浸透方法を考えるというクエストが挙がりました。
真島: 僕たちのギルドが何個か案を持って行って、そのうちの「スタンプ使用案」がとおりました。普段社内で使っているチャットツールの「ChatWork」で、新クレド内容に沿うスタンプを作って、みんなが使えるようにしたんです。
たとえば「ミスにはフォロー、成果には喝采」というクレドがあるので、「おめでとう!」「頑張ったね!」というメッセージを表現するスタンプを作りました。仲間の成果を喜ぶ組織を体現するようなコミュニケーションが取りやすくなるんじゃないかと思っています。
ほかのクエスト例としては、「社長との会食に代わるいいインセンティブを考える」というものもありましたね。もともと、毎月いい成果を上げたチームが表彰されて、社長との会食に行けるというインセンティブがあったんです。でもコロナ禍でそうもいかなくなって、チームに対するインセンティブ案をほかにも考えてほしいというクエストができました。
――ギルドという施策をはじめてみて、みなさんの反応はいかがでしたか?
丸山: みんなギルドの活動に対して、予想以上に前向きでしたね。業務外の活動なので、日々の忙しさのなかで惰性の取り組みになってしまってもおかしくないと思うのですが。ほかのギルドも週に1回~3回くらいミーティングしていて、すごく積極的にやってくれて嬉しいです。
真島: プレゼン直前はとくに、本当によくミーティングしているよね(笑)
CyberOwlは頑張り屋さんが多いので、こういう取り組みも頑張るのは不思議ではないけれど。活動が可視化されたり、積み重なった得点は最終的にインセンティブにもなったりする点も、楽しみながら真剣にやれる理由かもしれないです。
あと、事業部のミーティングでは発言が少ないイメージだったメンバーも、ギルドで予想以上に積極的な意見を言ってくれているんですよ。本人も楽しんで取り組んでいるようなので、メンバーの新たな一面を知れて嬉しいですね。
――お2人自身の感想も教えてください。
丸山: ギルドを企画する前、真島さんが「もっとメンバーの成長を手助けしたい」とおっしゃっていて。僕も1人の社員として、普段関わらないボードメンバーの方と関われるのはすごく嬉しいので、この企画を形にできてよかったです。
あとボードメンバーの方も含めて、普段の業務内容がまったく違う人や、前に一緒に仕事をしたけれど今はかかわりが少ない人ともコミュニケーションがとれるのは楽しいですね。僕は営業以外にもいろいろな業務を経験してきたのですが、業務が変わると話す機会、考えを知る機会が減ってしまう人もいるので。
真島: 僕は昔営業をかなりやっていたので、丸山くんと部署を超えて営業の話ができたりとか、相談を受けられたりするところもいいなと思っています。管轄外のメンバーとも気軽に悩みを共有できるようにしていきたいですね。
――今後の計画はありますか?
真島: ギルドの取り組みはまだトライアルなのですが、「斜めの関係づくり」は引き続き狙っていきたいですね。リモートワーク下でも、ギルドでできるようなつながりを大事にしていきたいです。
丸山: 今はビジネス職のメンバーだけで試している段階なので、今後は開発メンバーにも参加してもらう可能性があります。そうなると普段かかわりが少ない方と接する機会がまた増えるので、ますます楽しみですね。
田中: ギルドは、メンバーからの提案をもとにゲーム性を取り入れて実施してみることになりました。ただ真島、丸山からの話にもあるようにみんな忙しいですから、単に業務が増えるような取り組みにはしたくなかったんです。
だからお題を「クエスト」と呼んだり、4つのギルドそれぞれにCyberOwlのメンバーたちらしい名前をつけたりして、少し遊び感覚を持ってもらえるようにしています。クエストも事業に関するものばかりにならないように、組織の活性化施策や採用活動に関するものを多く出しているんですよ。ポイントがたまっていくのも楽しいと思うので、考えやすいクエストを多めにするのも工夫の1つですね。
ギルドをやってみて1番よかったのは、みんなが本当に真剣にクエストに取り組んでくれることです。今までは後回しにしてしまっていた経営課題もこの取り組みによってどんどん解決しているので、社長の僕としては本当にありがたく感じています。